敵な人に出会った。
165cmの元オリンピック選手。
彼女は、背筋のピンと伸びた体を会場の左右に気を配りながら、力強く話す。

そして最後に、1972と書かれた輝かしい金メダルを恥ずかしそうに我々にかざしてくれた。「調子にのっとんのか!」と監督に叱られるのが怖かった。ただそれだけ。表彰台の一番高いところでも肩以上のガッツポーズで喜びを表現することができなかった。


決して自慢することもなく、 気さくでまじめなその方は、オリンピックは過ぎ去った過去のひとつとして会話を楽しむ。まっ なんとかなるわ。現在教職についている彼女は、そういいながら30年の歳月を経た今でも、新たなチャレンジを繰り返している。

19歳で栄光をつかみ、そして新たに、別の世界でチャレンジをする。はたしてどれくらいの人が、それを実行・実現できるだろう。この不景気の人生の楽しみ方を、身をもって教えられた気がした。